M&Aに必要なドキュメント(契約書類)
M&A・事業承継は、各段階でさまざまな書類を作成・取り交わしながら進みます。これらの書類は、単なる事務手続きではなく、取引の条件を定め、当事者をリスクから守るための重要な役割を担っています。どの段階でどんな書類が登場するのかを知っておくと、全体の流れも理解しやすくなります。
このページでは、M&Aの進行に沿って必要となる主な書類を解説します。
M&Aで作成する主な書類の全体像
| 段階 | 主な書類 |
|---|---|
| 初期接触 | 秘密保持契約書(NDA)、ノンネームシート、企業概要書(IM) |
| 交渉・基本合意 | 意向表明書(LOI)、基本合意書(MOU) |
| 調査 | デューデリジェンス資料、開示資料リスト |
| 最終契約 | 株式譲渡契約書・事業譲渡契約書など |
| クロージング | 株主名簿、株主総会・取締役会議事録など |
秘密保持契約書(NDA/CA)
M&Aの検討では、相手に決算情報など機微な情報を開示します。それらが外部に漏れないよう、具体的な情報をやり取りする前に締結するのが秘密保持契約書です。情報の利用目的の限定や、漏えい時の責任などを定めます。M&Aの第一歩ともいえる書類です。
ノンネームシート・企業概要書(IM)
ノンネームシート(ティーザー)は、会社が特定されない範囲で事業の概要をまとめた資料で、買い手の関心を探る段階で用いられます。
企業概要書(IM:インフォメーション・メモランダム)は、秘密保持契約の締結後に開示される、より詳細な会社情報をまとめた資料です。事業内容、財務状況、組織などが記載され、買い手が検討を進める基礎資料となります。
意向表明書(LOI)
買い手が、買収の意向や希望条件(おおよその価格やスキームなど)を売り手に伝える書面です。この段階では、法的拘束力を持たせないことが一般的です。
基本合意書(MOU)
主要な条件についておおむね合意できた段階で、その内容を確認するために締結します。価格などの条件部分には法的拘束力を持たせず、独占交渉権や秘密保持といった一部の条項にのみ拘束力を持たせる形が多くとられます。
デューデリジェンス関連の資料
買い手が対象会社を調査する段階では、買い手側が用意する開示依頼リスト(チェックリスト)と、それに応じて売り手が開示する各種資料(契約書、許認可関係、労務関係資料など)がやり取りされます。これらの精査結果が、最終契約の条件交渉に反映されます。
最終契約書(株式譲渡契約書・事業譲渡契約書など)
M&Aの締めくくりとなる、最も重要な書類です。スキームに応じて「株式譲渡契約書」「事業譲渡契約書」などが作成されます。主な条項には次のものがあります。
- 表明保証:開示した内容が真実かつ正確であることを当事者が保証する条項
- 誓約事項(コベナンツ):契約後・引き渡し前後に当事者が行うべき(行ってはならない)事項を定める条項
- 補償条項:表明保証違反などで損害が生じた場合の賠償について定める条項
- 解除条項:一定の事由が生じた場合に契約を解除できる条件を定める条項
これらの条項の設計次第で、買収後にリスクが顕在化した際に守られるかどうかが決まります。最終契約書は、弁護士が関与する意義が最も大きい書類です。
クロージング関連の書類
実際の引き渡し(クロージング)では、株式の移転を記録する株主名簿や、譲渡の承認を行う株主総会・取締役会の議事録など、手続きを完結させるための書類が必要になります。これらに不備があると、後日「本当に有効に譲渡されたのか」が問題となりかねません。
書類作成における弁護士の役割
M&Aの書類は、ひな型をそのまま使えばよいというものではありません。案件ごとのリスクを踏まえて、依頼者を守る条項を的確に盛り込むことが重要です。とりわけ表明保証や補償条項は、内容次第で依頼者の利益が大きく左右されます。
当事務所では、秘密保持契約書から最終契約書まで、案件のリスクに応じた書類の作成・チェック・交渉を弁護士が一貫してサポートいたします。上場企業から年商1億円以下の小規模案件まで幅広く対応しておりますので、ぜひ一度ご相談ください。初回のウェブ面談は無料です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案については必ず専門家にご相談ください。

