デューデリジェンスとは? |弁護士によるM&A・事業承継支援特設サイト

デューデリジェンスとは?

M&Aや事業承継を検討する際、必ず登場するのが「デューデリジェンス(Due Diligence)」という言葉です。聞き慣れない方も多いかもしれませんが、これはM&Aの成否を左右する非常に重要なプロセスです。

このページでは、M&A・事業承継に精通した弁護士の視点から、デューデリジェンスの意味・目的・種類・進め方を、中小企業の経営者の皆様にも分かりやすく解説します。

デューデリジェンスとは

デューデリジェンス(以下「DD」といいます)とは、M&Aの買い手が、買収対象となる会社や事業について、その実態やリスクを詳細に調査する手続きのことをいいます。日本語では「買収監査」と訳されることもあります。

会社の売買は、いわば「中身の見えない箱」を買うようなものです。決算書や事業計画書の表面的な数字だけでは、対象企業が抱える本当のリスク——たとえば未払い残業代、訴訟リスク、契約上の問題、簿外債務などは見えてきません。

DDは、こうした「見えないリスク」を買収前に洗い出し、

  • そもそも買収すべき会社なのか
  • 買収するとして、いくらが適正価格か
  • 契約上、どのようなリスクヘッジが必要か

を判断するための調査です。

ポイント
DDを怠ったままM&Aを実行すると、買収後に思わぬ債務やトラブルが発覚し、「こんなはずではなかった」という事態になりかねません。DDは、買い手が自らを守るための最も重要なプロセスです。

デューデリジェンスの目的

DDには、大きく分けて3つの目的があります。

1. リスクの発見

対象企業が抱える法的・財務的なリスクを事前に把握します。発見されたリスクの内容によっては、買収そのものを見送る判断(ディールブレイク)に至ることもあります。

2. 買収価格・条件への反映

DDで判明したリスクは、買収価格の引き下げ交渉の材料になります。また、「発見された問題を売り手の責任で解消してから引き渡す」といった条件設定にも活用されます。

3. 契約条件への反映

DDの結果は、最終契約書(株式譲渡契約書・事業譲渡契約書など)の条項に反映されます。たとえば、判明したリスクについて売り手に「表明保証」や「補償」の責任を負わせることで、買収後にリスクが顕在化した場合に賠償を請求できるようにします。

デューデリジェンスの種類

DDは、調査する分野によっていくつかの種類に分かれます。M&Aの規模や対象企業の業種に応じて、必要なDDを組み合わせて実施します。

種類 主な担当専門家 主な調査内容
法務DD 弁護士 契約関係、許認可、訴訟・紛争、労務、コンプライアンス等
財務DD 公認会計士 資産・負債の実態、収益力、簿外債務、会計処理の適正性
税務DD 税理士・公認会計士 税務リスク、申告の適正性、繰越欠損金等
ビジネスDD 経営コンサルタント等 事業の将来性、市場環境、シナジー効果
人事労務DD 社会保険労務士・弁護士 未払い残業代、社会保険、労務トラブル

このうち、法務DDは弁護士の専門領域です。とりわけ中小企業のM&Aでは、契約書の不備や、未払い残業代、許認可の承継といった法務リスクが後々の大きなトラブルにつながりやすいため、法務DDの重要性は非常に高いといえます。

法務デューデリジェンスの主な調査項目

法務DDでは、主に以下のような項目を調査します。

会社組織・株式に関する事項
株主名簿の整備状況、株式の権利関係、過去の組織再編の適法性などを確認します。中小企業では「実は株式の一部が所在不明株主のものだった」といったケースも珍しくありません。

契約関係
主要な取引先との契約内容、特にM&Aによって契約が解除されてしまう「チェンジ・オブ・コントロール条項」の有無を確認します。重要な取引先との契約が買収後に切れてしまっては、買収の意味が失われかねません。

許認可
事業に必要な許認可が適切に取得・維持されているか、そしてM&Aのスキームによって許認可が引き継げるかを確認します。

労務関係
未払い残業代の有無、社会保険の加入状況、就業規則の整備、過去の労務トラブルなどを確認します。未払い残業代は、簿外債務として後から多額の支払いを求められるリスクの代表例です。

訴訟・紛争
現在係属中の訴訟や、将来発生し得る紛争の有無を確認します。

コンプライアンス
法令遵守の状況、反社会的勢力との関係の有無などを確認します。

デューデリジェンスの一般的な流れ

法務DDは、おおむね以下の流れで進みます。

1. 調査範囲の決定
M&Aの規模・予算・対象企業の特性に応じて、どこまで調査するかを決めます。

2. 資料開示の依頼
売り手に対して、調査に必要な資料のリスト(チェックリスト)を渡し、開示を求めます。

3. 資料の精査
開示された資料を専門家が精査します。

4. マネジメントインタビュー
資料だけでは分からない点について、経営者や担当者にヒアリングを行います。

5. 報告書の作成
発見されたリスクと、その重大性、対応方針をまとめた報告書(DDレポート)を作成します。

6. 契約交渉への反映
報告書をもとに、買収価格や契約条件の交渉を行います。

中小企業のM&Aにおけるデューデリジェンスのポイント

「DDは大企業のM&Aでやるもので、小規模な案件には関係ない」と思われがちですが、これは誤解です。

確かに、譲渡規模が小さい案件で大企業並みのフルスペックなDDを行えば、調査費用が買収額に見合わなくなってしまいます。しかし、規模が小さいからといってリスクが小さいとは限りません。むしろ中小企業では、株式の権利関係が整理されていなかったり、労務管理が不十分だったりと、潜在的なリスクが大きいケースも少なくありません。

そこで重要になるのが、案件の規模やリスクに応じて調査範囲を絞った「ポイントを絞ったDD」です。費用対効果を考えながら、本当に重要なリスクに焦点を当てて調査することで、小規模案件でも適切にリスクをコントロールできます。

デューデリジェンスで問題が見つかったら

DDで問題(リスク)が発見された場合、必ずしも買収を断念しなければならないわけではありません。リスクの重大性に応じて、以下のような対応が考えられます。

  • 価格への反映:リスクの分だけ買収価格を引き下げる
  • 前提条件化:問題を解消してから引き渡すことを契約の条件にする
  • 表明保証・補償:買収後にリスクが顕在化した場合、売り手に賠償を求められるようにする
  • ディールブレイク:リスクが大きすぎる場合は買収を見送る

どの対応が適切かは、リスクの内容と案件全体のバランスによります。ここで弁護士が交渉に関与することで、買い手の利益を守る契約条件を実現できます。

デューデリジェンスを弁護士に依頼するメリット

法務DDは、単に資料をチェックするだけの作業ではありません。発見したリスクを法的にどう評価し、契約交渉にどう反映させるかまで一貫して対応できることが重要です。

弁護士に法務DDを依頼することで、

  • リスクの法的な重大性を正確に評価できる
  • 発見したリスクを契約条件に的確に反映できる
  • 売り手との交渉を弁護士が代理して進められる(交渉代理は弁護士の独占業務です)
  • DDから契約締結・クロージングまで一貫してサポートを受けられる

といったメリットがあります。

まとめ

デューデリジェンスは、M&Aの買い手が「見えないリスク」から自らを守るための、最も重要なプロセスです。とりわけ法務DDは、契約・労務・許認可といった、後々の大きなトラブルにつながりやすい領域を扱うため、専門家である弁護士の関与が欠かせません。

当事務所では、上場企業から年商1億円以下の小規模案件まで、幅広いM&A・事業承継のデューデリジェンスを手がけてまいりました。案件の規模に応じてポイントを絞った調査を行い、リーズナブルな費用でリスクに対応する契約までワンストップでサポートいたします。

M&A・事業承継のデューデリジェンスをご検討の際は、ぜひ一度ご相談ください。初回のウェブ面談は無料で承っております。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案については必ず専門家にご相談ください。

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